舌を詳細に診査しても、全く異常が認められないにもかかわらず、痛みや、しびれるような感覚が続く病気を「舌痛症」といいます。
舌の先端や縁の部分に「ピリピリ」「ヒリヒリ」した痛みや焼ける様な感じ、しびれるような感じ、歯が擦れるような痛みが長期間(数週間から何年も)続きますが、舌や口の中を検査しても痛みの原因となるような腫れや炎症が認められません。
血液検査でも異常はありません。鋭い痛みを伴う神経痛のような痛みではなく、会話、食事中や何かに夢中になっているときは舌の痛みを感じないことが多いです。
一人で静かにしているときに痛みが強くなる、朝や午前中は痛みが少ないが、夕方や夜間に強くなるといった特徴があります。
40歳以上の女性、真面目で几帳面な人、自分が舌癌ではないかと心配している人に多いです。
痛む場所が移動することがあり、のどや口蓋、唇にも痛みを感じることがあります。軟膏をつけたり、痛み止め、ビタミン剤を飲んでも症状は改善しません。
原因は解明されていませんが、歯の尖りによる物理的刺激、ホルモンバランスの異常、自律神経の変調、心理的要素(癌ではないかという不安)などと言われてきました。
しかし最近になって、脳の中の神経回路を通る電気信号の流れの異常によって、痛まなくてもいいときに痛みを感じたり、痛みの程度が変わったり、場所が移動したりするのではないかと考えられるようになりました。
治療として、刺激物があれば除去、不安を取り除く(癌であることの心配をなくすなど)、
含嗽・うがいの励行、趣味や仕事など打ち込めるものをみつける、抗うつ剤の服用(現在最も有効な治療法。症状の軽減、消失が報告されています)などがあります。漢方薬を使用する場合もあります。