口腔粘膜疾患
1. |
アフタ性口内炎 口腔粘膜疾患の中でもっとも一般的なもので、直径数ミリ大の円型をしており、粘膜の表面が白みがかっている潰瘍で、周囲が赤くなります。 食物、歯ブラシなどがあたると痛みを感じ、刺激のあるものは特に強く痛みます。通常、1〜2週間で治りますが、再発を繰り返す場合もあります。
(原因)
原因は不明ですが、機械的刺激、遺伝、疲労蓄積、全身の体力低下、栄養不良、ストレス、胃腸などの消化器との関連が示唆されています。 (治療) 殺菌作用のあるうがい薬、軟膏塗布、ステロイド入り粘膜付着錠など。 |
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2. |
扁平苔癬、金属アレルギー 角化性で炎症を伴う難治性の病変です。頬粘膜、舌、口唇にできやすく、白いレース状の粘膜疹がみられ、周囲が赤くなるのが特徴です。 接触痛があったり、食べ物がしみることがあります。癌化することはまれですが、長期の経過観察が必要です。
(原因)
原因は不明ですが、歯科用金属によるアレルギーがあって発症することがあります。遺伝、ストレス、代謝異常などの関与が考えられています。 (治療) 局所療法としてうがい薬やステロイドを含む軟膏を用います。金属アレルギーが疑われるときは、検査を行った後、原因の詰め物や冠を取り外す必要があります。 |
3. |
白板症 頬粘膜、舌、歯肉にみられる白色の角化病変で、こすってもぬぐい取れないもの。癌化する可能性があるため、前癌病変の代表的なものとされています。びらんを伴ったり、接触痛があることがあります。
(原因)
喫煙やアルコールによる刺激、義歯などによる慢性刺激、ビタミン欠乏などの関与が考えられています。 (治療) 経過観察を行う場合もありますが、しこりや潰瘍を伴ったものは、必ず組織をとって検査をする必要があります。 長い時間をかけて癌化する場合もあるので、長期の厳重な経過観察が必要です。また、白くなるのではなく、赤くなる紅板症という疾患があります。頻度は低いですが、非常に癌化しやすいため、注意が必要です。 |
4. |
口腔カンジダ症 カンジダアルビカンスというカビの1種(真菌)によって生じる感染症。急性型である偽膜性カンジダ症は、白色の点状、線上などの偽膜が粘膜表面に付着します。 拭い取ることが可能ですが、発赤を伴ったり、接触痛を伴ったりします。慢性化すると肥厚性カンジダ症となり、白苔は剥離しにくくなり、上皮が厚くなってきます。カンジダ菌は歯周病を悪化させることでも注目されています。
(原因)
カンジダ菌は口腔内の常在菌の1つで、通常は他の菌と一緒に存在しています。 しかし、免疫力の低下、ステロイドの使用、糖尿病など、全身状態が悪化したり、長期間の抗生物質の使用で細菌のバランスが崩れると、カンジダ菌が異常増殖し、病原性を示すようになります。 (治療) 抗真菌剤のうがいや服用、口腔内や義歯の清掃で症状が改善します。 |
5. |
単純疱疹(ヘルペス性歯肉口内炎) 単純性ヘルペスウイルスによる感染で、一般には唇にぶつぶつができる程度のことが多いですが、なかには激しく症状を起こす場合があります。
(原因)
単純性ヘルペスウイルスによる感染 (治療) 全身的な管理、時に入院が必要になることがあります。食事が困難な場合は栄養の補給が必要で、鎮痛剤、抗生物質の処方や抗ウイルス剤の処方もあります。局所的にはうがいや口腔内の保清を行います。 |